頭痛と鍼灸

こんな頭痛でお悩みではありませんか?

・デスクワークなど長時間同じ姿勢でいると頭が重く痛くなる
・病院に行くほどではないが頭痛に悩んでいる
・病院で片頭痛や緊張型頭痛といわれ、薬を飲むけど効果を感じない。 など

頭痛は仕事や家事、学校生活など日常生活へ大きな影響を与えることがあります。
しかし「頭痛くらいで病院に行くのは…」と考えたり、市販薬で対処し続けたりしている方も少なくありません。

⇩頭痛でお困りの方はご相談ください⇩

この記事でわかること

  • 頭痛の種類と特徴
  • 頭痛に対する鍼灸の効果(これまでの研究からみえること)
  • 当院の施術の流れ

頭痛の種類について

頭痛の原因は様々です。なかには病院で治療が必要な病気が隠れていることもあります。
また、片頭痛や緊張型頭痛であっても、市販の薬ではなく、医師による適切な薬物療法によって症状が改善することがあります。
そのため当院では、まず医療機関での診断・治療を優先していただいております。

そのうえで、
・薬を使っても症状が残る
・頭痛によって生活に支障が出ている
・首や肩のこり、疲労感が同時に起きて辛い

といった場合に鍼灸が役に立つことがあります。

危険な頭痛チェックリスト

・突然起こった激しい頭痛
・手足のしびれや麻痺
・呂律が回らない
・発熱を伴う
・意識がぼんやりする
・外傷後の頭痛
・今まで経験したことのない頭痛

これらの症状がある場合は、鍼灸院ではなく、速やかに医療機関へご相談ください。突然の激しい頭痛や麻痺、意識障害がある場合は、救急受診が必要です。


一次性頭痛について

慢性的な頭痛の多くは「一次性頭痛」と呼ばれるもので、代表的なものに「片頭痛」「緊張型頭痛」があります。

片頭痛とは

片頭痛は、日本では約8%の方が経験するとされる代表的な一次性頭痛です。
ズキズキと脈打つような痛みが特徴で、片側に起こることが多いものの、両側に痛みを感じることもあります。数時間から3日程度続くことが多く、日常生活や仕事に支障をきたすことも少なくありません。

また、
・光や音がつらい
・吐き気や嘔吐を伴う
・身体を動かすと痛みが悪化する

といった症状がみられることがあります。

発症には体質的な要因に加え、睡眠不足や寝過ぎ、ストレス、疲労、月経周期、気圧変化などが関与すると考えられています。
近年では、片頭痛は単なる「血管が広がる病気」ではなく、三叉神経血管系の活性化やCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)などが関与する神経疾患として理解されています。

緊張型頭痛とは

緊張型頭痛は、最も患者数の多い頭痛です。
頭全体が締め付けられるような痛みや重だるさが特徴で、「きついヘルメットをかぶっているよう」「頭を締め付けられているよう」と表現されることもあります。片頭痛とは異なり、日常生活で動いても悪化しにくく、吐き気を伴うことは少ないのが特徴です。
長時間のデスクワークやスマートフォン操作、首肩の筋緊張、精神的ストレス、睡眠不足などがきっかけになることがあります。

以前は筋肉の緊張が主な原因と考えられていましたが、近年では慢性化した緊張型頭痛では、脳や神経が痛みに敏感になる「中枢感作」が関与していることも分かってきています。そのため、首肩だけでなく、睡眠や疲労、ストレスなども含めて考えることが重要です。

TACs(三叉神経・自律神経性頭痛)とは 代表例:群発頭痛

TACs(三叉神経・自律神経性頭痛)は群発頭痛などを含む比較的まれな頭痛です。

・群発頭痛とは

片側の目の奥やこめかみに非常に強い痛みが起こり、
・涙が出る
・鼻水が出る
・目が充血する
・まぶたが下がる

など、自律神経症状を伴うことが特徴です。
発作は15分〜3時間程度と比較的短時間ですが、非常に強い痛みが特徴です。

一般的な肩こりや疲労による頭痛とは異なり、専門的な診断・治療が必要となることが多いため、疑われる場合は頭痛を専門とする医療機関への受診が勧められます。


また、薬剤の使用過多による頭痛(MOH:medication-overuse headache)の存在も忘れてはいけません。これは、もともと頭痛持ちの方が鎮痛薬などを使い過ぎることによって頭痛が悪化する状態のことをいいます。

「ハリトヒト。学び」でさらに詳しく「MOH」について学べる記事をご紹介します⇩

ハリトヒト。
薬剤の使用過多による頭痛(MOH)に対する鍼灸治療の役割/鍼灸師:菊池友和 | ハリトヒト。 今回の学びは、「MOH:medication-overuse headache(薬剤の使用過多による頭痛、薬物乱用頭痛)」がテーマです。

片頭痛に対する鍼灸

片頭痛に対する鍼灸は、頭痛が起こる頻度や日数を減らすことを目的とした予防的な治療として研究が進められています。

複数の研究をまとめた報告では、鍼灸によって頭痛の頻度や日数が減少する可能性が示されています。

しかし、効果には個人差があります。また、研究で行われている治療は、週1~3回程度の施術を数週間継続するものが多く、1回の施術で改善を目指すものではありません。

当院でも、医療機関での診断や治療を大切にしながら、必要に応じて鍼灸を組み合わせ、頭痛による生活への悪影響を軽減できるように予防的なサポートをしています。

鍼灸師・鍼灸学生向け(エビデンスを詳しくみる)

期待できる効果

22件のランダム化比較試験(4,985例)をまとめたコクランレビューでは、通常治療のみでは頭痛頻度が半分以下になった人は17%でしたが、鍼灸を追加した群では41%でした。

また、偽鍼との比較では、頭痛頻度が半分以下になった人は鍼灸50%、偽鍼41%でした。

頭痛日数については、治療前に月6日程度の片頭痛がある患者では、

  • 通常治療 → 約5日/月
  • 偽鍼・予防薬 → 約4日/月
  • 鍼灸 → 約3.5日/月

と報告されており、平均すると月に1〜2日程度、頭痛日数が減少する可能性があります。

研究で行われている施術

研究によって施術方法はさまざまですが、頭部だけでなく、頸部・肩周囲や手足の経穴を組み合わせた方法が多く採用されています。

施術頻度について、研究では、単回ではなく、少なくとも6回以上の施術を一定期間継続する方法が中心です。NICE(英国国立医療技術評価機構)では、主要な予防薬が使用しにくい場合などに、5〜8週間で最大10回の鍼治療を検討することが記されています。

エビデンスの限界

すべての患者さんに効果があるわけではありません。
また、偽鍼との差は小さく、研究ごとに対象患者、施術方法が異なります。そのため、「最も効果的な施術方法」が確立されているわけではありません。

現時点では、医療機関での標準治療に鍼灸を併用することで、一定数の患者さんに利益をもたらす可能性があるというのが、現在のエビデンスの位置づけです。

臨床的解釈

片頭痛に対する鍼灸は、通常治療に追加することで頭痛頻度が減る可能性があります。一方で、偽鍼との差は比較的小さく、すべての方に明確な効果がでるわけではありません。
そのため、鍼灸は「薬物療法に代わる治療」ではなく、医療機関での診断や予防治療を基本としたうえで、頭痛日数や生活への支障を軽減するための選択肢として考えるのが適切です。

臨床では、漫然と施術を継続するのではなく、頭痛日数、発作の回数、服薬日数、日常生活への影響などを一定期間ごとに確認する必要があります。変化が乏しい場合には、治療頻度や方法、医療機関での再評価を含めて見直すことが重要です。

以上から、片頭痛に対する鍼灸は「薬の代わり」ではなく、「標準治療に追加する選択肢」として一定の根拠があると考えられます。


また、「ハリトヒト。学び」でさらに詳しく片頭痛について学べる記事をご紹介します⇩

ハリトヒト。
「片頭痛」に対して鍼灸師ができること/鍼灸師・博士(医学): 石山 すみれ | ハリトヒト。 今回の学びは「片頭痛」がテーマです。ガイドラインの改訂や新薬の登場で新たな局面を迎えた片頭痛治療。そのような中で鍼灸治療も非薬物療法の1つとして期待されています...

緊張型頭痛に対する鍼灸

緊張型頭痛は、首や肩のこり、疲労、ストレス、睡眠不足などが重なって起こることが多く、薬を飲んでも繰り返してしまう方もいます。
鍼灸では、頭痛が出ているときのつらさを和らげるだけでなく、「頭痛が起こりにくい状態」を目指して施術を行います。
近年の研究では、鍼灸を続けることで頭痛の頻度が減ったり、頭痛による生活への支障が軽くなったりする可能性が報告されています。

もちろん、すべての方に効果があるわけではありません。また、多くの研究では、数週間かけて継続的に施術を受けることで効果を評価しており、1回の施術で改善を目指すものではありません。

当院では、医療機関での診断や治療を大切にしながら、首や肩の緊張だけでなく、睡眠や疲労、ストレスなども含めて状態を整理し、一人ひとりに合わせた施術を行っています。

鍼灸師・鍼灸学生向け(エビデンスを詳しくみる)

期待できる効果

2016年のコクランレビューでは、成人の反復性または慢性緊張型頭痛を対象とした12件のランダム化比較試験、2,349例が検討されています。
通常治療、または頭痛発症時のみの治療と比較した2件の大規模試験では、頭痛頻度が50%以上減少した患者の割合は、鍼治療群でおおむね45〜48%、対照群で4〜19%でした。
いいかえると、100人あたりで換算した場合、通常治療のみでは17人、鍼治療を追加した場合は48人が、頭痛頻度の50%以上の減少を得たとされています。
偽鍼との比較では、頭痛頻度が50%以上減少した患者は、真の鍼治療で約51〜52%、偽鍼で約43%でした。相対リスクは1.3で、真の鍼治療が偽鍼をわずかに上回りましたが、差は大きくありませんでした。

以上から、鍼灸を通常治療に加えることで、頭痛が改善する方は一定数いると考えられます。

研究で行われている施術

コクランレビューでは、少なくとも6回以上の鍼治療が、頻回に起こる緊張型頭痛に対する選択肢になり得ると結論づけています。
英国NICEガイドラインでは、慢性緊張型頭痛の予防治療として、5〜8週間に最大10回の鍼治療を検討するよう示しています。これは、おおむね週1〜2回の施術になります。

研究ごとに経穴、刺入深度、刺激方法、置鍼時間などは異なります。頭頸部や肩周囲の疼痛局所・圧痛部と、手足の経穴を組み合わせる方法が用いられていますが、最も効果的な経穴の組み合わせや刺激量は確立されていません。
また、研究は単回治療ではなく、一定期間に複数回施術する介入を評価しています。そのため、研究結果を「1回で頭痛が改善する」と解釈することはできません。

エビデンスの限界

コクランレビューにおけるエビデンスの確実性は、主に中~低程度です。評価が下がった理由として、盲検化の難しさ、研究間での効果量のばらつき、施術内容の不統一などがあります。
通常治療と比較した試験では、被検者が鍼施術を受けていることを認識しているため、「鍼への期待感」「施術者との関係」「通院そのもの」などのバイアス効果が結果に影響を与えます。

一方、偽鍼との比較では差が小さく、偽鍼も皮膚への刺激を伴うため、「まったく効果のない治療」とはいえない可能性があります。
また、理学療法、マッサージ、運動療法、リラクゼーションなどとの比較試験は少なく、報告の質も十分ではありません。鍼灸が他の非薬物療法より優れているかは、現時点では明確ではありません。

したがって、「緊張型頭痛には鍼灸が必ず有効」とは言えませんが、頻回反復性または慢性緊張型頭痛に対する予防的な選択肢の一つとして、一定の根拠があると評価できます。

臨床的解釈

緊張型頭痛に対する鍼灸は、通常治療のみと比べて、頭痛の頻度を減らす可能性が示されています。ただし、偽鍼との比較では差が小さく、鍼を刺す場所や方法に固有の効果がどの程度あるかについては、慎重に解釈する必要があります。
また、緊張型頭痛は単純な首肩の筋緊張だけで説明できるものではありません。頻回に繰り返す場合や慢性化した場合には、睡眠、疲労、心理的負担、痛みに対する神経系の過敏性など、複数の要因が関与している可能性があります。
そのため、局所への施術だけで完結させず、頭痛日数、鎮痛薬の使用状況、首肩周囲の圧痛、仕事上の負担、睡眠や生活リズムなどを整理することが大切です。一定期間施術しても頭痛の頻度や生活への支障が変化しない場合には、診断や治療方針を改めて確認する必要があります。

以上から、緊張型頭痛に対する鍼灸は、慢性的に頭痛を繰り返す方に対する予防的治療の一つとして位置づけられます。


当院の施術の流れ

当院では、医療機関での診断や治療を基本としながら、頭痛の状態を確認します。そのうえで、首や肩のこり、睡眠、疲労、ストレス、生活状況なども含め全体の状況を整理し、一人ひとりに合わせた施術を行っています。

施術方法について

頭痛のタイプや身体の状態に応じて、頭部への施術だけでなく、手足や背中、お腹への鍼やお灸を組み合わせることもあります。また、首や肩のこりが強い方には首や肩周囲への鍼を中心に行い、必要に応じて鍼通電療法(電気を流す鍼治療)を組み合わせることもあります。

通院について

例えば5日に1回程度(1か月に6回前後)の片頭痛がある方では、まずは週1回の施術を4〜6回行い、頭痛日数や痛みの程度、生活への支障などがどのように変化するかを確認します。
症状が安定してきた場合には、2週間に1回、月1回と少しずつ間隔をあけながら経過をみていきます。
症状が改善しない場合は、無理に継続はいたしません。

「薬だけでは十分に改善しない」「できるだけ頭痛を繰り返したくない」という方は、一度ご相談ください!

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参考文献等はこちら

この記事を書いた人

ハリトヒト。鍼灸院 院長
関西ハリトヒト。代表
はり師 きゅう師/全日本鍼灸学会 認定鍼灸師・指導鍼灸師